コロナウイルスによる人為排出起源の温室効果ガスの減少

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コロナウイルスのニュースが連日ですが、これからもまだしばらくはそうなるでしょう。本当に恐ろしい事態であり、我々人類は非常に小さなエイリアンとの戦いにあると言えるかもしれません。

さて、そんなコロナの影響で、多くの国がロックダウンによる経済活動の停滞を余儀なくされており、その影響で気候変動に影響を及ぼすと言われている、人為的に排出されている温室効果ガスの減少が、宇宙を飛んでいる人工衛星からわかってきています。

例えば、下の図はNASAの人工衛星から得られた中国東海岸の一酸化炭素(CO)の濃度を表わしています。

© 2020 UCAR

左の図が2019年の2月13日から3月10日までの大気中のCO濃度、真ん中の図が2020年の2月1日から3月10日までの濃度、そして右の図が二つの図の濃度の差を表しています。

これを見ると、左図の2019年は北京から武漢周辺にかけて赤く、CO濃度は大きかったのですが、中図の2020年のコロナの影響による武漢を中心に中国がロックダウン中においては、CO濃度は黄色も見えており低くなっています。右図の差を見ると青く中国ほぼ全域でCO濃度が前年度に比べて低く抑えられている事がわかります。計算では全体で46%の減少であったことがわかったそうです。

一方で、東南アジア方面を見てみると、逆にCO濃度が増えています。これは林野火災によるものであることが、これも人工衛星のデータからわかっています。

一方で、下の図はヨーロッパの宇宙機関であるESA(European Space Agency)の人工衛星から見た、同じCO濃度の図です。

© 2020 UCAR

NASAの衛星に比べて若干の差異があるもののCOの濃度の分布と現象の傾向はほぼ同様であると言えます。このデータからはおよそ33%程度の減少だったそうです。

二つの宇宙機関から得られたデータを照合した結果、同様の結果が得られましたので、正確な絶対値はわからないものの、ほぼ傾向としては正しい事を示していると言えます。

さらに、下の図はESAの人工衛星から得られた二酸化窒素(NO2)の濃度のデータです。

© 2020 UCAR

NO2はCOに比べて比較的短期に地域の特性が出やすいので、短期間で中国が各都市を閉鎖して、交通を遮断し、工場を閉鎖した結果、有害廃棄物質の排出が急激に減少した結果であることが予想できます。NO2はなんと71%も減少していることがわかったそうです。

コロナの影響で、気候変動の温暖化に寄与すると言われている温室効果ガスの減少につながった例がいくつか報告されていますが、それを裏付けるようなデータが見えてくると複雑な気持ちになります。

我々人間は、自分たちで実現できない目標を、自然界の脅威によって強制的に実現させられているのでしょうか?もし、そうだとしたらSDGsの実現ももしかしたら実はものすごく壮大な目標であって、我々が英知を絞って実現するにはあまりに遠すぎる目標なのでしょうか?あるいは、人類が英知を合わせて今回のようなロックダウン的な思い切った改革を実施しないと実現できないものでしょうか?

非常に考えさせられるデータだと思いませんか?

出典:米国大気研究所(NCAR)・コロラド大学大気研究所(UCAR)

 



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