2050年の天気予報

猛暑到来ですね。日本列島は北海道を除いて連日猛暑日(最高気温が35度以上)の所が多くなりますので、皆さん熱中症には十分ご注意ください。

ところで、世界気象機関(WMO)が5年ほど前に面白い企画を実施しました。

WMOが「2050年の天気予報」を行う企画を行い、WMOの主要メンバー国に対して働きかけて、各国の主要ニュースメディアと人気の天気予報のキャスターと共同で、「実際に2050年になったつもりで天気予報を行う」動画を作成したのです。

日本はNHKが作成を行いました。以下、動画を貼り付けておきます。

これを見ると、2050年の9月23日までに、

・真夏日(最高気温が30度以上)が50日以上

・熱帯夜(最低気温が25度以上)が60日以上

・熱中症による死亡者が6500人以上!

・京都の紅葉の見ごろはクリスマス頃!

・海面水温の上昇で沖縄のサンゴの白化が深刻

・秋にはスーパー台風(中心気圧895hpa!最大風速70m/s!)が襲う!

という、とんでもない状況になっている事が予報されています。

しかし、これはIPCCの科学報告書に基づいた予想であり、SFではありません。

今日の様な猛暑日を体験すると、これから30年後にはそうなる可能性もあるかもしれないという気にもなってきます。

動画の後半では、温室効果ガスの排出がこのままの状況を維持する事の危険性を訴えています。

各国が気候変動に対するアクションを起こすように、前国連事務総長のバン・キムンのメッセージも最後に添えられています。

その他、アメリカ、ヨーロッパ各国、アフリカ、等、世界各国のキャスターによる動画があります。

まとめてどこかに置いてあるのかと思ったのですが、なさそうですので、YoutubeでWeather Forecast 2050で検索してみてください。

世界のキャスターやテレビ局の違いがあって、中々面白いです。

実は、この企画はWMOの広報担当が行ったのですが、私の知り合いでもあります。

その時に、日本のNHKとキャスターは素晴らしかった!と言っていました。

日本のきめ細かい、真面目で、高品質な文化を彼も感じたのでしょう。

夏本番も呼吸法で乗り切ろう!

意識を変えて家で仕事しましょう!

 

あなたも情報発信を始めてみませんか?

情報発信ページを簡単に作成できるツール「カラフル」

北極周辺が暑い!

最近では、気候変動による温暖化のニュースは途切れる事がありません。

ロシアのシベリア地域では、長期の卓越した熱波によりこれまでにない火災が発生しています。そして大量の温室効果ガスが同時に排出されています。それと同時にロシアの北極沿岸では、大規模な海氷が融解しているとのこと。

ノルウエイのスバルバード島にある人間が住む最北端の町ロングイールビュエンでは、7月25日に観測史上最高となる21.7度を記録しました。ノルウエイの気象局によると、この地の例年7月の平均気温は5.9度とのことだそうです。

今年1月から6月のシベリアの気温は平年より5度も高く、6月は10度も高かったようです。

シベリアのベルホヤンスクでは今年の6月20日に38度という、ロシアの気象水文局が1885年に観測を開始して以来の最高気温を記録しました。この熱波によりシベリアの針葉樹林では火災が多く発生しました。

©World Weather Attribution

図(シベリア地域の気温の比較):「2020年1-6月の平均気温」と「1981年から2010年の平均気温」の差、赤色が濃い程気温が高い変化であることを示す。

この長期の熱波の原因は、気象的な視点で見ると広大なブロッキング高気圧とジェット気流が北向きにシフトしたことにより暖気が流れ込んできたことによるものです。

しかしながら、気候学的にはこの現象は単なる一過性のものとしては扱われにくく、気候学者たちは人類の人為起源による気候変動の影響が関わっていると指摘しています。

下の図は、欧州宇宙機関(European Space Agency)のセンチネル衛星と呼ばれる地球観測衛星画像から得られた林野火災の状況のスナップショットです。多くの火災による煙が立ち上り、その煙が広大な地域に拡散していることがわかります。

©ESA

ロシアの連邦林野局によりますと、今回の火災でおよそ3百万ヘクタールが影響を受けたと報告されています。また、火災の幅は800kmにも及び、その北端は北緯71.6度まで及んでおり北極海沿岸の8kmまで迫っているとのことです。

また、この立ち上った煙は拡散して、有毒な大気汚染物質を周辺地域はもちろんのこと、大気の流れにのって地球規模で拡散させていきます。

さらに、6月のシベリアでの森林火災だけで56メガトンの二酸化炭素が放出されたという見積もりが報告されました。

シベリア地域を中心とした煙の拡散状況(動画)

また下の図は、欧州の研究機関が推定した、北極域における野火による二酸化炭素の排出量を推定した年毎のグラフですが、2019年だけで既に記録が更新されているのですが、2020年はそれを大きく上回る排出量となっています。

©Copernicus/ECMWF/EC

こうした事実が積み重なっていくと、今後2050年には、現在よりも気温が最低でも0.5度、最高で5度は上昇することが予想されています。

ちなみに、この排出量はどうやって算出したかと言うと、これだけの広大な火災を地上で計測するのは難しいので、人工衛星を使って延焼面積を測定し、そこから温室効果ガスの排出量を推定しています。

このように、気候変動による温暖化が進むと、森林火災⇒煙による大気汚染⇒二酸化炭素や地中からのメタンなど更なる温室効果ガスの排出海氷面積の減少⇒日射吸収の増大⇒海面温度上昇⇒生態系の変化(シロクマの絶滅危機)、など多岐に渡る影響が出てきます。

 

ところで、我々は気候変動を語る際に、このような負の連鎖が地球のどこかで日々起こっている事を、事実としてどの程度知っているでしょうか?

気候変動問題の場合には予測による意思決定には大きな権力が動くため、必ず肯定派と懐疑派がおり、客観的な事実と情報を定量的に把握することが重要となります。

気温や排出量、森林面積、海氷面積などの地球の診断には、人工衛星や気象観測網、森林調査、海洋観測船などの様々な測定器が使用されます。

これらの高価な測定器から得られるデータと情報を蓄積していき、品質管理をしっかりとして、研究者や一般に公開し、データ解析を行い、そららを様々な研究者同士で是非を議論し、最終的に一般や政治家に届けられます。

上記の過程の内で、少しでも不備がありデータの変更や改ざんがあると議論はあらぬ方向に行きます。

上記で書いた「56メガトンの排出量」ですが、これは実はまだ欧州の研究機関が発表した数値に過ぎません。例えば、アメリカの研究者は反対するかもしれませんし、分析手法によっては違う数値が出てくる可能性もあります。

気候変動の問題は、条約の交渉も重要ですが、それの基礎を支える現在と将来の予測に関するデータと情報の信頼性をどのように国際的にコンセンサスを得るのかも大きな問題です。

また、こうした観測のデータは大量に時間的に空間的に分解能高く取得できれば、それだけ精度が良い現状を把握できるだけではなく、モデルに組み込む事によって将来の予測の精度が上がります。

気象予報では、3日後の天気予報は8割以上の確率で当たる様になってきました。それはモデルの手法の向上と共に観測データの高分解能化、高精度化によるものです。

将来的に、気候変動予報が出来て気温が50年後に何度上がるか、信頼できるようになればと思います。それにはまだまだ研究も技術もデータも足りないのです。

参考情報

世界気象機関(World Meteorological Organization)

欧州宇宙機関(European Space Agency)

 

 

夏本番も呼吸法で乗り切ろう!

意識を変えて家で仕事しましょう!

 

あなたも情報発信を始めてみませんか?

情報発信ページを簡単に作成できるツール「カラフル」

アジアモンスーンの変動による洪水被害の拡大

九州では梅雨の梅雨前線により線状降水帯が発生し、集中豪雨による洪水被害が続いています。

近年は「観測史上初」とか、「過去50年以内に例を見ない」などという表現が多く出てくる程の異常な降水量であり、地元の方々も経験したことのない大雨がここ数年続いているようです。

通常、降水量は目的別に1時間雨量、3時間雨量、12時間雨量、24時間雨量、振り始めからの積算雨量、という形で目的別に使い分けられます。

例えば、都市のゲリラ豪雨では30分から1時間程度の集中豪雨ですので1時間雨量が使われます。

普通夏の午後によくある雷雨で大体1時間で20~50mm以内ですが、これでいわゆるどしゃ降りの雨というものになります。1時間50mmを超えると、低地での浸水やがけ崩れの危険が高まります。

今回の九州の豪雨の場合、梅雨前線により形成される積乱雲が、同じ場所で次から次へと生成しては消えていくパターンとなっており、1時間でも50mmを超える雨量ですが、それが3時間以上で観測史上1位の降水量となっている場所が多いのです。

1時間でも50mmを超えるのに、それが何時間も続くほどの降水量になると土砂災害の危険や、河川の増水や氾濫の危険度も増してきます。実際に、九州のみならず全国で84河川で氾濫が確認できているとのことです。

なぜ、近年この時期に大雨が降る様になったのでしょうか?このメカニズムは「アジアモンスーン」というアジアにおける水と大気の循環系によって解明が進められています。

アジアモンスーンとは、インド洋からインドを抜けてチベット高原、中国を抜けて東端となる日本までを含む季節風変化のメカニズムです。

梅雨の季節になると、インド洋などの南の海と大陸の温度差が大きくなり、海上からの湿った空気が大量に大陸に流れ込みます。そして、その湿った空気が中国を抜けてはるか東の日本まで運ばれてくるのです。

アジアモンスーンのメカニズム図

©Zhanqing Li, et al

詳しい説明は専門書がたくさんありますから避けますが、この季節風による湿った空気が例年よりも大量に入ってきて、なおかつ北からの季節風と衝突して積乱雲を形成します。近年このアジアモンスーンの変化が大きくなっているのがわかっています。

今回、世界気象機関(WMO)によると、日本だけではなく、中国やインドでも洪水被害が起きている事が報告されています。インドでは北部にかけて最高レベルの洪水警戒が出ています。中国では6月から揚子江流域で洪水被害が多発しており、数百万人に影響が出ています。

気候モデルによると大気中のCO2濃度が増えると、地球上において強い雨の頻度が増え、弱い雨の頻度が減る、という予測を立てています。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、特にこのアジアモンスーンの地域では今後の降水量変化予測として増加傾向にあるとしています。

実は、このアジアモンスーンの地域にはおよそ世界の人口の約60%が住んでいるとのこと。今後洪水被害が増加するとなると世界的にも深刻な状況になっていくかもしれません。

国内においては、「気候危機」の状況がようやく浸透し始め、自治体レベルでの対策が開始されています。こうした洪水被害に対する治水対策などはもはや「気候変動対策」として地域レベルでの動きになっています。

自然科学の分野でのこうした気候危機のメカニズムが解明されていますが、その科学の解明の成果が我々一般の生活にどう生かされるかが今問われていると思います。

IPCCの活動はまさにそうしたものでありますが、まだまだ一般への認知度や分かりやすさという観点で難が多いと思います。科学や研究の成果を分かりやすく誤解のない様に誰にでも説明できる機能が重要であり必要だと思っています。

参考文献

Aerosol and monsoon climate interactions over Asia

気象庁ホームページ

 

 

梅雨時期の呼吸法にも最適!

 

意識を変えて家で仕事しましょう!

 

あなたも情報発信を始めてみませんか?

情報発信ページを簡単に作成できるツール「カラフル」

 

環境白書とGCPからの報告

2020年版の環境白書が閣議決定されました。2020年版「環境・循環型社会・生物多様性白書」が正式な名称です。

概要版:2020年版「環境・循環型社会・生物多様性白書」

一言で言うと、地球温暖化の影響と考えられる災害が深刻化している現状を「気候変動」から「気候危機」と言い直しており、対策を強化するよう呼びかけています。

特に2019年は、国内では豪雨や猛暑、房総半島台風、東日本台風など、海外では欧州の記録的な熱波、北米のハリケーン災害、豪の広範囲の森林火災、インドやミャンマー等の洪水災害がニュースでも大きく取り上げられていました。

直近20年間の気候関連の災害による被害額は、合計2兆2450億ドルとなっており、その前の20年間に比べ2.5倍になっているという状況です。

一方で、コロナの感染防止策として広がったテレワークやウェブ会議の有効性が示されたことによって、CO2排出削減や働き方の改革等につながるもので、今後も強靭な経済活動につながる様に継続すべき、と提言されています。

そのコロナの感染防止策で世界的なロックダウンにより、人間活動が停滞したことにより人為起源の温室効果ガスの排出がどの程度減ったかについて、国際的な温室効果ガスの研究のコミュニティであるGCP(Global  Carbon Project)が報告を出しています。

コロナ自粛中の世界のCO2排出量の一時的な削減

以下の要約となります。

2019年の平均に比べて、2020年4月はグローバルの日々平均で約17%減少(その半分弱は地上交通による)

©Le Quéré et al. Nature Center Change (2020), Global Carbon Project

計算方式は、世界の約97%の排出量となる69か国に対して行っており、独自の定義に基づく自粛のレベル0~3に応じたCO2の変動量を上の図にもある6つの経済活動のセクター(居住、公共、航空、エネルギー、産業、地上交通)に分けて計算しています。

上記の図、1月下旬から始まった自粛活動により、各経済セクターのCO2削減が増えていきました。3月上旬近辺で一時的に削減量が減っていますが、これは中国が自粛を緩和し始めたからです。

その後、3月中旬以降には世界的に自粛が広まり、4月上旬に最大ピークとなる17%まで削減となりました。居住セクターはテレワークなどでCO2排出が増えていますが微々たるものです。その他のセクターは削減していて、最も多いのは地上交通の排出削減でした。

©Le Quéré et al. Nature Center Change (2020), Global Carbon Project

上の図は、自粛レベル1-3の時間変化によるCO2排出量の変化がわかります。1月下旬から中国を中心に始まった自粛は、3月上旬で緩和されましたが、3月中旬以降は世界的に広がり、そのレベルも厳しくなったことがわかります。

今後の事ですが、2020年のCO2排出量がどのような変化となるかは、自粛のレベルとその期間によるとされています。シミュレーションでは、大まかに6月中旬まで自粛が続く場合には2019年に比べて約4%程度の減、2020年末までレベル1の自粛が続く場合には、約7%程度の減となるであろうと予測しています。

また、今回の前例のない世界的な自粛によって得られたCO2の削減は非常に大きいもので、2006年の排出レベルに匹敵するものでした。しかし、それ以降の約14年間の排出の増加は非常に大きなものであり、パリ協定の実現に向けた削減の達成にはまだまだ足りないとのことです。

今後の自粛と生活スタイルの変化により、どのようにCO2削減が変化していくのか、観測モニタとデータ分析は重要であり科学的に十分精査された助言が重要になっていくと思いました。

また、テレワークでのCO2増加は微々たることは予想できましたが、そうなると仕事と生活のスタイルも大きく見直した方が良いかもしれませんね。

オフィスを省力化していき、都市部への通勤を減らして、エネルギー効率的に最適な社会環境を実現していくのは、次の社会環境の変革に必要な政策になっていくと強く思いました。

みんなが東京に集まる必要はもうなくなってきているので、テレワークで可能な仕事であれば、田舎で農業をしながらでも出来る社会を作るべきなのでしょう。特に、それは人口減の激しい日本で兼業も踏まえた生産性の向上を戦略的に進める必要があると思います。

多分、それは政策提言していくと同時に、個人がそれぞれ動いていくべきことなのだと思います。私も今後は極力テレワークで仕事をする方向で検討しています。そして、そこで出来た余裕の時間を他の仕事や社会貢献に振り分けていく事を考えています。

あなたはどう思われますか?

 

意識を変えて家で仕事しましょう!

 

あなたも情報発信を始めてみませんか?

情報発信ページを簡単に作成できるツール「カラフル」

 

テレワークのストレス解消に!自分管理のための書!

 

気候変動と森林

私の会社もテレワークが5月6日までとなりました。週末も自粛ということでなるべく家にいるようにしています。そんな時間がある時にこそ自分の行っている仕事の整理などもしてみたいと思います。

今、私の行っているプロジェクトで一番の課題は、気候変動における森林による温室効果ガスの吸収量を全世界で正確に把握するための方法を開発しようとしています。

京都議定書やパリ協定などの気候変動の枠組み条約においては、各国が自分たちの国において排出したり吸収したりした温室効果ガスの量を透明性高く報告する必要があります。

国連の気候変動枠組条約の事務局(UNFCCC)では、各国からの報告を集計し、地球全体としての二酸化炭素やメタン、亜酸化窒素などの温室効果ガスの増減を管理していきます。これに関してちょっと簡単な動画を作成してみました。

各国の報告は正確を期す必要がありますが、その集計方式は国際的なガイドラインはあるものの、各国の集計方式の能力的な事情などもあり結果的に一律の基準になっていません。そこはどうしても各国の努力目標となってしまうため、強制力は発揮出来ずに、各国が独自にそれぞれの温室効果ガスの削減努力目標を国際的に提示すること事で、一律の削減目標は無理にしても、可能な限り透明性の高い目標を設定する事でみんな頑張りましょう、ということにしているのです。

各国の集計する温室効果ガスの排出量や吸収量は、国際的なガイドライン(IPCCによる)に沿って、網羅的に多くの分類について報告する必要があります。工場や自動車等のエネルギー分野、工業、農業、土地利用、林業、廃棄物、その他の間接的なもの、に大きく分けてそこからさらに細かい個々の排出量や吸収量を集計しています。

その詳細な報告書は、以下のリンクからご覧になれます。環境省が最終的に集計するのですが、その作業は外部委託されており、国立環境研究所の温室高ガスインベントリオフィスにて実施されています。年度毎に報告書が作成されます。

2019年度 日本国温室効果ガスインベントリ報告書

さて、大分前置きが長くなりましたが、この報告書には林業が特だしで掲載されています。ご存知の通り、森林は世界の陸域の約3割に分布しています。日本は特に国土の約7割を占めています。国土自体は狭いですが、割合としては森林大国なのです。

小学校で習いましたが、植物は主要な温室効果ガスである二酸化炭素を吸収して酸素を排出します。つまり、吸収源となっています。森林の分布や種類とその量を集計することは、どの程度温室効果ガスを吸収できるのかの能力を測定することになります。

2003年以降、日本の森林による温室効果ガスの吸収量は減少傾向にあります。これは戦後の植林が、この年の前後から自給率を増してきており、日本の森林は今かなりの供給過多状況になっているとのことです。つまり日本の森林は過去の人工林の造林が育ちきってしまい、吸収量が延びずに減少に転じてしまっている状況なのです。

日本の森林の現状(森林・林業学習館)

これは世界に比べても特異な状況であり、世界の主に熱帯の途上国は、WWFによると「毎秒サッカー場にして36個分の面積が消失」していると言われています。これは農地転用や焼き畑、違法な森林伐採などがありますが、最近ニュースでも有名になった米国カルフォルニアや豪州での大規模な森林火災にもよります。

それに加えて一方で、日本は森林が育った状態となっていて、今後は間伐や適切な森林経営に従って森林を有効活用しなければいけない時期と言われています。実は、この事実は意外にも知られていない気がします。

林業自体が最近担い手が少なくなってきており、日本の林野庁も予算の関係から中々思い切った政策も問題自体のアピールも出来ない現実があるのです。しかしながら、わかっている人はわかっていて、違法な業者が監視の届かない事を良い事に、日本国内においても違法伐採が増えてきている事実があります。

日本にもあった違法伐採!宮崎県は無法地帯?

日本の良質な木材が国外に違法に出ているという噂も聞こえてきます。こうした事実を前に人手が少なくなってきている林業を活性化しようと頑張っている活動もあるのですが、業界全体に活気がないように思います。これは林業の商売の参入が農業以上に垣根が高いし、かつ見返りが少ない事になると思われます。

このような状況を把握しながら、世界の森林を守り、日本の森林を適切に管理するための枠組み形成や管理ツールをどのように合意形成しながら整備できるか?という難題にここ最近取り組んでいます。

世界の森林を守る事で言えば、日本の高度な監視技術を活用して南米アマゾン、インドネシア、中央アフリカ(主にコンゴ民主共和国)の3大熱帯雨林地域の森林消失を防がねばなりません。これらの国は新興国あるいは発展途上国であり、自分たちでこれらの森林を管理する技術を十分に持ち合わせていないので、先進国が協力して資金や技術を提供していく必要があります。

日本では、JICAが技術協力によって以前からこれらの国々に対して森林の管理の手法とその設備投資を支援してきました。日本以外でも、欧米各国の援助機関がこぞって投資しています。

ブラジルにおいては、アマゾンにおいて違法伐採が多く、広大な土地なので取り締まるための人的リソースが中々工面できるものではありません。そんな中で日本からJCIAとJAXAが共同で開発した、人工衛星による森林の伐採検知システムを導入することによって違法伐採の減少に貢献出来ました。

こうしたツールを使って世界に貢献すると同時に、日本の森林の最適経営も行っていかなければなりません。日本の森林は、気候変動監視の吸収量として、防災の面においての風害や水害を守るための防水風林として、さらに加工木材の原料としての森林を考えながら、適切な森林経営が必須になってきている時代なのです。

最近では、ドローンやUAVを使った森林状況の調査が促進されています。林業業界を活性化させるべく、異業種であるGISのコミュニティやセンシング技術を使ったコミュニティが参入しつつあるのです。林業に長く従事されている方もおっしゃっていました。「我々も意識を変えていかないといけない時代になった。もっとより多くの他分野のコミュニティと連携して、林業の多様な在り方を考えていかなければならない」と。

気候変動と森林はなんとなく関連があると思われていますが、その中身は大変複雑で、かつ根が深い課題が多く詰まっています。SDGsで言えば、ゴール13及び15を一緒に関わる課題ですが、それだけにチャンスと信じています。

こうしたグローバルにも国内にも課題に取り組むチャンスがある気候変動と森林に対してより多くの方が関心を持って関わってくれる事を願っています。

 


あなたも情報発信を始めてみませんか?

情報発信ページを簡単に作成できるツール「カラフル」

 


意識を変えて家で仕事しましょう!

 

あなたも情報発信を始めてみませんか?

情報発信ページを簡単に作成できるツール「カラフル」

 

テレワークのストレス解消に!自分管理のための書!